CO2の資源化 ~炭酸ガスの超高効率メタノール化~
炭酸ガスは地球温暖化原因物質として、大気中への放出の抑制が社会的課題である。排出される炭酸ガスを捕捉して地中に埋める技術(CCS)は長年世界中でプロセスが開発されてきた。しかし、炭酸ガスも炭素資源であることは間違いない。炭酸ガスは石油、石炭などの化石燃料の燃焼で生成し、最も安定な物質の一つである。これを有用な物質に変換するプロジェクトはCCUS(Carbon Capture Utilization and Storage)と称し、温暖化対策と新エネルギー開発の観点から、世界的な技術開発課題である。
HiBD研究所では、バイオマスを空気で酸化して得られる希薄な合成ガス(CO + H2 + N2)からメタノールを高い収率で得る単純なプロセスを開発した(特許447510)。
炭酸ガスと水素からメタノールを得る反応(CO2 + H2 → CH3OH + H2O)は水の生成を伴い、平衡的にも不利な反応でありワンパス収率は著しく低い。従って10MPa以上の極めて高い圧力か大量の未反応ガスのリサイクルが必要である。HiBD研究所では島根大学と共同で特殊な反応器を開発した。反応圧力2.0~3.0MPa、温度230~250℃という極めて温和な条件下、ワンパスで、しかもほぼ100%の収率でメタノールを得る反応プロセスを開発している(平衡収率:15~20%、特許出願中)。このプロセスでは、触媒の酸化劣化が起こりにくく、安定的な運転が可能である。さらに、この反応方法を他の炭酸ガスの変換反応に活用している。